こんにちは。MedTechTodayの吉谷です。
今回は、RNN(Recurrent Neural Network)と医療でのRNNの使われ方について説明していきます。
1.RNNとは何か
再起型ニューラルネットワーク(RNN)とは時系列データ処理分野で用いられているニューラルネットワークです。時系列データとは時間依存性があるデータのことで、動画や音声、株価などがあげられます。
時系列データを用いてニューラルネットワークで何か予測しようとした場合、例えば、過去の株価の動きから「明日の株価を予測」するには、時間情報(過去の株価の動き)を反映できる仕組みが必要です。
そこで考えられたものがRNNです。
RNNは内部に、前の時刻に出力した情報を次の時刻に入力された情報に付け加え、また出力する仕組みがあります。
この仕組みにより、これまでどのような情報の入力があったか、これまでの情報の入力に対しどのような出力をしたかという情報を活用することができます。
そのため、RNNは過去の情報の入力から時系列データの個々の要素の並びの依存関係を学習し一つの出力をすることができるという訳です。
2.医療での活用法
RNNは、医療では主に画像データの処理や言語処理などに利用されています。
では、実際に当サイトで紹介した論文でどのように活用されていたか解説します。
1 ) 画像処理の場合
画像処理の事例としては、「【2020年6月下旬】 医療×AI 最新論文3選」の「回帰型ニューラルネットワーク(RNN)を用いた心臓シネMRIにおけるモーションアーティファクトの軽減」の論文があります。
http://test-wp.medtech-today.com/2020/06/29/post-397/
この論文では、質の低いMRI画像やブレのあるMRI画像から空間情報と時間情報を一挙に取得し、高品質なMRI画像を再現するRNNの利用法が提案されています。
ここで利用されているRNNはConvLSTMという手法です。
RNNを画像処理や動画処理に使用する場合、CNNで画像の位置情報を取得する必要があります。CNNで画像識別を行い一定時間ごとのラベル付けを行うことで、時系列データに変換できます。
ConvLSTMはCNNの空間情報機能とRNNの派生であるLSTMの時間情報の読み込みが同時にできるようになったRNNのことです。
ここでは、ConvLSTMを使用し時系列ごとに入力された心臓のMRI画像の空間情報から心臓の運動を分析することで、モーションアーティファクトを低減し、心臓のMRI画像のぼかしを減らす可能性を示しています。
2 ) 言語処理分野の場合
言語処理の事例としては、「【2020年5月下旬】 医療×AI 最新論文3選」の「深層学習テクノロジーに基づく自動化された質問回答医療モデル」の論文があります。
http://test-wp.medtech-today.com/2020/06/01/post-307/
この論文では、患者の質問に対して適切な回答を生成し、一種のデジタルドクターを再現するためにRNNの活用法が提案されています。
具体的には、MedQuADという12のNIH(米国国立衛生研究所)のWebサイトから作成された47,457 の質問と回答のペアの医学的質疑応答データセットをRNNに学習させます。
一定間隔ごとに入力された単語を学習させることによりテキストの構文と意味をある程度理解させ、まるで本物のドクターと対話しているようなテキストを生成できるモデルを作成しています。
まとめ
この記事ではRNNについて解説しました。
RNNという言葉が、単なる手法ではなく「自分の研究に活用してみよう」と思えるくらい身近なイメージになりましたら望外の喜びです。
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