医療AIスタートアップ

国内医療×AIベンチャー 4選 画像解析編

MedTechToday編集部の竹原です。

現在はMRIやCTといった撮像機器の飛躍的な進歩により、膨大な情報が得られるようになりました。

しかし医療業界は慢性的な人手不足で、膨大な情報と人間の処理能力の間にはギャップが生まれています。

今回は、このギャップを埋めるためのAI開発を行なっている国内企業を4つ紹介します。

1. エルピクセル- EIRL

LPIXELから引用

エルピクセルは東京大学発のベンチャーで、医療画像の診断支援を行うEIRLを開発しています。

2019年10月に、脳MRI画像から「脳動脈瘤」の疑いがある箇所を検出するEIRL aneurysm(エイル アニュリズム)が薬事承認を取得し、販売を開始したことで一気に注目が集まりました。

ディープラーニングを活用した医療機器で、PMDAが承認したものはこれが初めてです。

前例を作ったという意味で、この承認は大きな意味を持っています。

さらに、エルピクセルは2020年1月24日に胸部X線画像から肺結節の疑いのある領域を検出し、医師の診断支援を行う画像解析ソフトウェアについて、PMDAに医療機器製造販売承認の申請をしたと発表しました。

他にも、大腸内視鏡などの研究開発も行っています。

特徴国内初の薬事承認獲得
事業内容医療診断支援技術EIRLの開発
研究者向けソフトLP-Series
技術背景ライフサイエンスと画像解析

2.メドメイン- Pidport

メドメイン より引用

九州大学発、医療機器ベンチャーのメドメインは、病理医不足を解決するPidportというサービスを提供しています。

現在は、胃・大腸・乳腺および肺の組織判定をはじめ子宮頸部、尿の細胞判定に対してAI解析を用いてスクリーニングを行うことが可能で、病理専門医に肉薄する精度を実現しています。

まだ国内での承認は降りておらず、海外でのサービスを2月1日に開始したばかりですが、すでに国内で利用できるサービスもあります。

それは、病理標本のデジタル化と、デジタル化したデータを保存するクラウドストレージ、オンライン上で病理医に診断を依頼できる遠隔病理診断サービスです。

画像診断AIにとどまらず、病理業界のワークフロー全体を効率化するサービスを提供しているのが特徴です。

特徴ワークフロー全体を効率化するサービスを提供している点
事業内容AIによる病理スクリーニング
遠隔病理診断
病理標本のクラウドストレージ
技術背景ディープラーニング

3.  Aillis- アイリス

アイリスより引用

アイリスはディープラーニングを用いた全く新しいインフルエンザ検査法の開発を行っており、薬事承認ならびに保険適用を目指しています。

Aillisの検査法はシンプルで、患者の喉の画像を撮影し、それをAIが識別するというもの。

ベテランの医師だけが通常の濾胞と見分けられる患者の喉にあるインフルエンザ濾胞を学習させたAIが読み取り、診断を行います。

この手法のメリットは、①痛みを感じずに検査ができる点、②従来では検査に引っかからない初期のインフルエンザを検査できる点、③検査精度が高い点(従来は62%)です。

アイリスは第一種製販業許可を取得しているため、すべての医療機器の製造販売が可能で、さらに医療機器の自社内設計・製造も可能です。

医療機器の設計から製造販売までのすべてのプロセスを社内に所有しており、一定時期に大量の検査が必要となるインフルエンザ診断を行うAI医療機器の開発においても、スムーズなサービス提供が期待できます。

将来的に鼻に綿棒を差し込む検査法がなくなり、画像診断がメインになる時代が来るかもしれません。

特徴ディープラーニングを用いた全く新しいインフルエンザ検査法
事業内容インフルエンザ診断支援AI医療機器の開発
技術背景ディープラーニング(パターン認識)

4. AIメディカルサービス

AIメディカルサービスは、内視鏡の画像診断AIを開発しているベンチャーです。

創業2年で累計62億円近い資金を集めており、非常に期待が集まっています。

将来的に、消化器(食道・胃~小腸・大腸)に対する「がん関連病変」の内視鏡検査で、専門医の診断を支援するシステムの実現を目指しています。

内視鏡技術は日本発祥で、世界市場の約7割を日本企業が抑えています。

国際競争の激しいAIによる画像解析分野においても、やはり日本企業にリードしていただきたいですね。

特徴内視鏡に特化している点
事業内容内視鏡検査の診断支援システムの開発
技術背景ディープラーニング(教師あり学習)
日本発祥の内視鏡技術

まとめ

いかがだったでしょうか?

日本国内でもいくつかのベンチャーが、画像解析分野にAIを導入し、イノベーションを起こしています。

課題解決の選択肢として、AIを活用していく未来ができるだけ早く来るといいなと思います。

以前、海外の画像解析ベンチャーについてまとめたので、よろしければそちらもご覧ください。

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